いちばんわかりやすいブロックチェーンの説明

専門用語なしで解説

仮想通貨に興味を持って、「ブロックチェーンってなに?何がそんなに革新的なの?」と調べたことがある人は多いでしょう。しかし、

「P2Pネットワーク?」
PoWって何? PoSって何?」

と意味不明な専門用語がずらずら出てきて挫折しますよね。

このあたりがまさにビギナー殺し

この辺でブロックチェーンの理解を諦めて、チャートに夢中になる多いのでしょう。

それではもったいない。

なので、この記事では専門用語を使わずにこのビギナー殺しの壁を突破する解説をしたいと思います。

分散ネットワークとその課題

分散ネットワーク(P2P)とは

まず、ブロックチェーンの基礎となる知識、分散ネットワーク(P2P: ピアツーピア)について説明します。

30代以上のおっさん世代であれば、Winnyを例に出すとわかりやすいでしょうか。

2000-2005年位に流行した、ファイル共有システムですね。

当時、YoutubeもPornhubも無かった時代。

音楽や動画ファイルを共有できるWinnyは大学生達の間で大ブームとなりました。

このファイル共有システムがなぜ画期的だったのか。

それは、「特定の管理者がいない」ことです。

一般的なWebの場合

一般的なインターネットでは、サーバーと呼ばれる情報を集積しているPCがあり、みんなそこにアクセスして情報をやり取りしてます。

わかりやすい例が2ちゃんねるのような掲示板ですね。

でもこのような「特定のサーバーがあり、管理人がいる」システムだと、その政府や裁判所がその管理人を逮捕したりすることで、そのシステムを止めることができてしまいます。

分散ネットワークの場合

この脆弱性を克服するのが分散ネットワーク(P2P)です。

P2Pでは、全てのユーザーが保管してるデータを、お互いに直接やり取りして共有します


そしてこのネットワークは基本的にオープンで、誰もがソフトウェアを実行することで参加できます

だから、ネットワーク参加者の誰かを逮捕したりしても、ネットワーク全体が止まるということはないのです。

分散ネットワークの課題

ところが、分散ネットワークには課題もあります。

通常のWebであれば、管理者がデータに責任を持つので、そのデータはある程度正確です。

一方、分散ネットワーク上のデータは誰もが共有できるもので、その正しさは誰も保証しているものではありません

実際、ファイル名を見て「あ、この漫画読みたかったんだよね〜」とダウンロードしてみたら、全然違うファイルだったり、ウイルスだったりが日常茶飯事でした。

これが、分散ネットワークの弱点と言えるでしょう。

ブロックチェーンが起こした「革命」

「ブロックチェーンの何がそんなに革新的なのか?」

それは、上記の分散ネットワークの弱点を克服したことにあります。

誰もが参加できる、管理者もいない分散ネットワークで、「どのデータが正しいのか」という合意をとる。

これがビットコインがブロックチェーンによって史上初めて達成した偉業なのです。

「誰がどれだけのお金を保有しているのか」というデータは、誰もが自分の残高を多くしたいですよね。

普通に考えたら、上記の弱点を持つ分散ネットワークでこれを管理するのは無理に思えます。

しかしながら、ビットコインは、逆に分散ネットワークによって「誰も改ざんできないデータベース」を作るという革命を成し遂げたのです。

ブロックチェーンが打ち破った技術の壁

ビットコインはなぜこのようなことができるのでしょうか?

例えば、以下のように、分散ネットワークに悪意を持った人が参加して自分の残高を増やしたデータを正当だと主張するとどうなるのでしょうか?

ネットワーク内には、2つのデータが存在することになるので、「どちらが正しいデータなのか」ということを全員一致で判断できなくてはいけません。

多数決で決めればいいじゃん

そう思った人は多いのではないでしょうか。

正解です。

ブロックチェーンはシンプルに多数決によって正しいデータを決めるシステムなのです。

しかし、この実現はすごく困難だった理由があります。

なぜなら、分散ネットワークは誰もが参加できる不特定多数のネットワークなので、アカウントも作り放題だからです。

悪意を持った人が、アカウントを量産して票を増やすことで、多数決に勝利できたりしてしまいます。

従って、分散ネットワークにおいては、1アカウント=1票 という投票は機能しないのです。

分散ネットワークで多数決を実現させるためには、「量産できない票」が必要となります。
これを実現させたことがブロックチェーンのブレイクスルーだと言えるでしょう。

Proof of Work(PoW)❗️

ビットコインが見つけた「量産できない票」は計算量です。

「コンピュータにどれだけ計算を実行させたか」≒「どれだけ電気代をかけたか」

これは無限に量産することは不可能です。

もちろん、電気代を沢山使えるお金持ちほど有利な仕組みではありますが、データを書き換えるには、ブロックチェーンに参加する全コンピュータの計算力の内、50%以上を独占する必要があります

どんなお金持ちでも、世界規模のネットワークにおいてこれをやるのは不可能でしょう。

計算の証明

しかし計算量を票として使うためには、「コンピュータにどれだけ計算を実行させたか」ということを証明できなくてはなりません。

なぜなら悪意を持ったハッカーに「これだけ計算したよー」と嘘をつかれたら意味がないからです。ちゃんと計算したことを証明されなくては票として使えません。

ビットコインはある、暗号計算問題を用いてこの証明を実現しました。

これは簡単に言えば、「パスワードを見つける問題」です。

この答えのパスワードを見つけるためには、とにかく沢山計算するしかありません。
(カンニングなどの近道はありません。)

だけど、正解のパスワードが見つかれば、誰もがそれが正解だと確認できます

だから、その正解を提出することは「この問題を解いたということは、コンピュータにこれだけの計算をさせたんだな」と本当に計算をしたことの証明になります。

これこそが、Proof of Work = 「計算の証明」と呼ばれるモノであり、ビットコインのブロックチェーンにおける多数決の票なのです。

Proof of Stake(PoS)❗️

PoWの問題点

計算量を多数決の票とするPoWは欠点もあります。

競って計算電力を消費するシステムなので、エネルギー資源を沢山使ってしまうということです。

ケンブリッジ大学の試算によると、現在ビットコインが消費する電力はオランダ1国の消費電力とほぼ同じで、しかも増加し続けています。

そして、その大半は地球温暖化を招く化石燃料から来ているとされています。

ビットコインの価格に比例して、この消費電力は増え続けるので、これは由々しき問題なのです。

別の票はないのか?

こうした問題点から、「PoWに変わる別の方法はないのか?」

という議論が開発者の間で巻き起こりました。

分散ネットワーク上で多数決の票として使えるためには、
①「量産できないこと」
②「証明できること」
の2点が必要です。

暗号計算を用いた計算の証明意外にも、使えるものはないか。

そしてついに、1つの代案が提案されました。

それこそが、Proof of Stake =「資産の証明」です。

これは何を多数決の票とするのかというと、

シンプルに言えば、「持っている仮想通貨の量」です。

思い出して頂きたいのは、十分に分散したブロックチェーンで保管されたデータは「誰にも変更できません」。
よって自分の持ってる仮想通貨は量産もできないし、みんなに公開されてるから証明済みでもあるので票として使えます。

また、PoWは「お金を電力に換えて消費することで票を獲得する仕組み」です。だったら、直接お金を票として使った方が、消費しないからエコだということでもあります。

時価総額現在2位の仮想通貨イーサリアムは、PoWでスタートして分散した後にPoSに切り替える計画で始まっており、2022年夏についにそれが実現する予定です。

まとめ

まとめます。

ブロックチェーンとは

  • 特定の管理者のいない分散ネットワークで、誰も管理者のひとつとして参加できる。
  • PoW(計算力)、もしくはPoS(資産額)を票とする多数決でデータを決める
  • 多数決で過半数をとらない限り、データを改ざんすることは誰にも不可能

です。

全イー
全イー

これは人類の歴史に残る革新だと思います。

 

それこそ猿山の時代から、人類はリーダーを作ることで集団の意思を統一する、中央集権社会で生きてきました。

それは意志の統一ができる一方、リーダーに特権が与えるために、暴君が生まれたり、政治が腐敗するリスクも常にある歴史でした。

 

しかし、20世紀に民主主義が台頭し、21世紀にはインターネットが普及したことで、中央集権社会が分権化する流れが進んできました。

 

ブロックチェーンは、インターネットを介して「リーダー不在で意志の統一」を行う技術です。
これは、人類史上初の快挙であり、人類が100年以上追い求めた民主主義の理想、分散管理社会の実現でもあるのです。

 

おまけ:リップルはなぜバカにされるのか

せっかくなのでおまけです。

PoWとかPoSとか、「何を多数決の票として用いるのか」というのコンセンサスアルゴリズムと呼びます。

このコンセンサスアルゴリズムを知ることで、その仮想通貨がどういうモノなのかを知ることでもあります。

ビットコインはPoW。恐らく永遠に変わらないでしょう。

イーサリアムは現在PoWで、PoSへのアップデートが目前に迫っています。

では、日本で人気(だった)リップルのコンセンサスアルゴリズムはなんでしょうか?

リップル社はProof of Consensusだと公表しております

直訳すると、「合意の証明」。

え、合意を取るための多数決の票が、合意?

どういうこと?

はい、なんの意味もない言葉です。

なぜならリップルは、1アカウント1票を採用しているから。

なぜできるのか?分散ネットワークだとアカウント量産できてしまうんじゃないか?

それはリップルは分散ネットワークではないからです。

リップルのネットワークは、誰もが参加できるネットワークではありません。

既存の参加者に認められた人だけが参加できる、限定的なネットワークです。

だから、アカウントを量産することができないので1アカウント=1票として多数決が取れるのです。

いや、参加者を限定すれば、それができるのは当たり前ですよね?

すごくシンプルな合意形成だから、PoWのようなエネルギー問題もないですし、処理能力を高めるのも簡単です。

でも別に、技術的に進歩してるわけではなく、むしろ退化です。

誰もが参加できるネットワークだからこそリーダーのいない平等なシステムだと言えるのに、限定してしまっては結局1部の人達を信頼しなくてはいけないシステムになります。

こんな程度のものをリップル社は、Proof of Concensusなどといかにもすごそうな名前をつけたり、「エネルギー問題がない」「処理速度が速い」などとできて当たり前のことを更なる技術的進歩であるかのように宣伝してるのです。

仮想通貨、ブロックチェーンは自由と平等を求めて生まれたものです。
これらのリップルの宣伝は、完全にブロックチェーンを冒涜していると思います。

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