イーサリアムの歴史的アップデート「the Merge」何が変わるの?

専門用語なしで解説

2022年夏、仮想通貨の歴史上、最も大きいアップデートがイーサリアムで起こります。

その名もthe Merge=「統合」

またイーサリアム2.0とも呼ばれたりします。

一体、イーサリアムの何が変わるのでしょうか?

イーサリアムはこれまでも沢山アップデートしてきましたが、なぜ今回が最大と呼ばれるのか。

本記事では、専門用語を使わずに解説したいと思います。

the Mergeの概要

直訳すると、「統合」という意味ですが、一体何と何を統合するのでしょうか。

それは、PoWとPoSのハイブリッド運営から、PoSへの一本化という統合なのです。

はい、PoW?PoS?という人は、以下の記事を読んでどうぞ。

そう、PoW、PoSというのはブロックチェーン上でのデータの合意を取るための多数決の票であり、ブロックチェーンの核心部分でした。

イーサリアムは現在、PoWのブロックチェーンがメイン、PoSのブロックチェーンが補完の役割分担で動いています。

それを今回、PoSのブロックチェーンをメインで一本化しようというのです。

なぜこんなめんどくさい事をするのでしょうか?

PoWとPoSの比較

それを理解するためには、PoWとPoSの特徴、メリットデメリットを理解する必要があるでしょう。

なのでここでは、いくつかの重要な観点について両者を比較してみたいと思います。

エネルギー効率性の観点

現在、ビットコインのエネルギー消費量はオランダ1国と同程度と言われ、地球環境への負荷が問題になっています。PoSが提案された最も大きな理由は、このようにPoWのエネルギー消費量がとても大きいという欠点からです。

PoSのエネルギー消費量はPoWの0.05%と推計されてます。

従って、エネルギー効率性の観点ではPoSの圧勝です。

ネットワークセキュリティの観点

ブロックチェーンは改ざん不可能なデータベースですが、唯一の例外は51%攻撃です。

なので、PoWの場合は計算力、PoSの場合は資産額(ETH)がどれだけ分散してるのかがネットワークセキュリティに直結します。

結論から言うと、計算力よりも資産額(ETH)の方が分散しやすいです。

なぜなら、計算力は電気代が安い地域の方が有利なので地理的に集中しやすい。加えて、ASICやGPUなどの高価なマシンも必要になるから技術的なハードルも高い。

一方、資産額(ETH)はどこでも稼ぐチャンスがあるし、技術的ハードルも小さい。

だからネットワークセキュリティの観点からもPoSの圧勝です。

資産の分散性

資産額(ETH)の保有者がどれだけ分散しているのかもとても重要です。

ただ、この観点ではPoWに分があると言えます。

PoSでは保有者が利回りを得られるために、保有し続けるメリットが大きい

だから売られにくく、大口保有者が残りやすい。

一方、PoWはマイニングで新規発行されたETHはすぐに売られます

マイナーはマイニングにかかった電気代を回収しなくてはいけないからです。

だから、資産の分散性と言う観点ではPoWの勝ちだと言えます。

比較まとめ

他にも色々な観点はありますが、主なものは上記3つで、

  1. エネルギー効率性はPoS
  2. ネットワークセキュリティはPoS
  3. 資産分散はPoW

です。

イーサリアムがなぜPoWでスタートし、PoSに移行する計画なのか。

全イー
全イー

エネルギー効率性とネットワークセキュリティはPoSが高い。
だけど、PoSのネットワークセキュリティを高めるためには資産分散を高めなくてはならないが、それはPoWの方が優れている

だからイーサリアムはまずPoWでETHの保有を十分に分散させた後に、PoSに移行すると言う良いところどりを目指したのです。

しかしこれは技術的に大変なことで、いわば飛行機のエンジンを飛行中に取り替えるようなものです。

現在PoSの仮想通貨は沢山ありますが、全てPoSからスタートしており、このPoWからの移行を成功させた仮想通貨はありません。史上初なのです。

だから、イーサリアムのPoSチェーンは他の仮想通貨のPoSチェーンとは比べ物にならないくらい分散されており、ネットワークセキュリティは桁違いです。

これが、イーサリアムが特別な理由であり、the Mergeは仮想通貨史上最大のアップデートと呼ばれる所以です。

何が変わるの?

OL
OL

すごいのはなんとなく分かったけど、

ETH持ってる私たちに何か良いことあるの?

イーサリアム、ガス代高くて使いにくいのは改善すんの

処理速度・ガス代は基本変わらない。

「イーサリアム2.0でガス代の問題が解決する」と言う言葉が先行してしまって、今回のアップデートにもその期待をしている人は多いかもしれません。

だけど、今回のアップデートはイーサリアム2.0の完成に向けた最大のステップではあるけれど、直接処理速度やガス代を改善するものではありません

処理速度・ガス代の改善はレイヤー2シャーディングと呼ばれるアップデートによって実現します。

レイヤー2はすでに開発がかなり進んでいて、本格的な普及はthe Mergeの後に最優先して実行される予定なので、2022年の後半から2023年の前半くらいが期待できると思います。

シャーディングはまだ数年かかりそうなイメージですが、今回のthe Mergeはシャーディングにもつながる重要なSTEPです。

価格への影響

じゃあ短期的に嬉しいことはないのかと言うと、そんなことはないと思います。

絶対にそうなるとは言えませんが、ETHの価格にはかなりの好影響があると考えられるからです。

SDGs投資の加速

今まで、仮想通貨に対する最大の批判はエネルギー消費の多さでした。

ビットコインをテスラの決済に導入していたイーロンマスクも、この理由から停止しました。

機関投資家はSDGs(持続可能な開発)の観点から投資先を選ばねばならず、ビットコインやイーサリアムに投資できなかった機関も多くあると思います。

今回、the Mergeによってイーサリアムがエネルギー消費の観点を克服すると、導入する企業や投資する機関投資家が一気に増える可能性が高いです。

新規発行量の激減

より短期的に、ETHの価格を上昇させる期待もあります。

the Mergeでは、PoSへの統合と同時に、ETHの新規発行量が激減します。

今までは、PoWによってETHの新規発行を多くし、保有の分散を進めてきました。PoSでは新規発行されたETHは売られにくいのでその必要はありません。

新規発行量は1/10にまで激減します。

ビットコインが半減期で1/2になる度に大騒ぎするほどに、新規発行量が価格に与える影響は大きいです。

さらにイーサリアムは手数料の大半がバーンされて消滅する仕組みになっており、the Merge後は新規発行量と消滅量が同程度になることが予想されています。

つまりETHの総発行量は一定もしくはむしろ減少さえありうる状態になります。

これだけの大変化がすでに価格に織り込まれているとは考えにくいです。

まとめ

まとめると、the Mergeは

  • 仮想通貨史上最大のアップデート
  • イーサリアムのエネルギー効率性、セキュリティを爆発的に高める
  • the Merge後のイーサリアムは他のPoSチェーン(SolanaとかADAとかDOT)とは次元の違う分散性を持つ
  • 処理速度やガス代は変わらない(今後1年で大きく改善する可能性は高い)
  • 価格は爆騰する期待が持てる

ですね。

2022年は仮想通貨市場冷え込んでますが、このthe Mergeをきっかげにガラッとムードが変わる可能性もあります。それだけ大きなイベントであり、また全てのイーサリアンがずっと待ち望んでいたイベントでもあります。

おまけ:ビットコインはPoSにならないの?

OL
OL

PoWのブロックチェーンがPoSに移行するメリットはわかったんだけど、

だったら、ビットコインも移行した方がいいんじゃないの?

ビットコインはPoSに移行したくてもできない。

確かに、ビットコインは最も長い歴史を持ち、ずっとPoWで来ましたから、仮想通貨で最も普及し、最も分散保有されている仮想通貨です。

ビットコインがPoSに移行できれば、イーサリアムよりもさらに高いセキュリティを持ったブロックチェーンが誕生するでしょう。

でもこれは無理なのです。

PoSに移行するためには、現在ビットコインネットワークを構成するマイナー達が賛成する必要があります。

しかしながら、PoSに移行すると、マイナー達はマイニングによって全く稼げなくなります。むしろ、マシンに初期投資していた分が無駄になって赤字です。

これに賛同するマイナーはまずいません。

また、マイナーの反対を押し切ってPoS版のビットコインをハードフォークで誕生させたとしても、「不変なモノ」である事を至上の価値としてきたビットコインの支持者には認められないでしょう。BCHのようなクソコインが誕生するだけです。

だからビットコインがPoSに移行することは事実上不可能と言って良いです。

ちなみに、なぜイーサリアムが移行できるのかと言うと、

イーサリアムでは、開発当初からPoSへの移行を計画していたために、マイナーにアップデートを強制させるような仕組みを組み込んでいます。

だからマイナーも従わざるを得ないし、最初から計画されていたこととあってコミュニティの支持も得られるのです。

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